#057 さくらちゃんは何年生?

 以前、この様な趣旨のメールを戴きました。

「さくらちゃんは小五です。証拠もいくつかある。」
引用許可申請を行っておりませんので、要旨のみの紹介とさせていただきます。

 ちなみにさくらちゃんが何年生であるかの記載は、最初の頃(クロウカード編)には「木之本さくら小学校4年生」というものがあるが、最新の連載(この当時十巻)ではその記載が無く何年生であるか全く分からないのである。

 この方のさくらちゃん五年生説の根拠は次のようなものです。
証拠は三つ戴いたのですが、うち一つがどう考えても違うような気がするのでここでは紹介しません。
引用許可申請を行っておりませんので、要旨のみの紹介とさせていただきます。

 これらのことから、「さくらちゃんは五年生になっている」と考えられるとのことです。

 わたしは「可能性は考えていたが、決定的なものがないため四年生」と言うように考えていました。それに漫画なんだから、厳密な時間系の中にいるとは思っていませんし。
 しかしこの様なメールをもらって、本格的に調べてみることにしました。

 まずさくらちゃんのカレンダーが分かっているので、日付の書いてあるページを探してカレンダーと照らし合わせてみれば、その経過年を知ることが出来ます。これによってさくらちゃんの年を推定することができます。
 しかしながら、日付のあるものはほとんど無く、年齢推定の出来るものはありませんでした。

 次にさくらちゃんやそのお友達の体の描写に注目しました。
 手元の小児科の教科書をあたってみるとこの様なことが書かれています。

 青少年期とは、子供が大人に移行する期間を言い、女子は10歳、男子は12歳頃から始まる。女子は男子より2年早い。7〜8歳頃までには性差が明かではないが、この頃から次第に男女差がはっきりしてくる。男子は平均して10歳位までは女子より身長が少し大きいが、10〜14歳の間は女子の方が身長も体重も大きくなる。
 女子は10〜12歳の約2年間に身長が急速に伸び、以後身長速度は急激に落ち、17歳頃に最終身長に達する。男子は女子に遅れて11〜14歳の3年間に急伸、19歳で最終身長に達する。
標準小児科学 第三版 医学書院 P25
 また、小児の発育と年齢に関するBierichの報告を見てみると以下のことが書かれています。
女児
10〜11歳:乳房発達の開始 骨盤発達の開始
11〜12歳:恥毛の発生 身長増加の促進 乳頭・乳頭輪の突出・・・
 さくらちゃん達の身の回りの子に「急激に身長が伸びた子」もいませんし、「胸が大きくなった子」も見かけません
 そのため、さくらちゃんはまだ四年生なのではないかと考えました。

 しかし「そこまで描写してない」って言われちゃえばそれまでなため、「カードキャプターさくら」で起きた出来事を時系列に並べてみました。

一巻
P14........さくら小四と言う記載有り 季節不明
P91........プールの授業ということで 季節は
P142.......知世ちゃんのFAXに「夏休み」と言う記述有り
二巻
P7.........運動会 (地域によって春または秋に行われる)
P72........さくら雪兎の誕生日(12.25)プレゼントを買いに行く そのため運動会は
P177.......バレンタインデー
三巻
P8.........桃の花 さくらちゃん自ら「春」と言う 季節は
-----------この前後にさくらちゃんは五年生に進級-------------
四巻
P49........臨海学校 季節は
P143.......月峰神社秋祭り(10.03) 季節は
五巻
P49........学芸会 12月 季節は
八巻
P137.......バレンタインデー
-----------この前後にさくらちゃんは六年生に進級-------------
十巻
P107.......月峰神社お祭り 六月
      ゆかたを着ているので少なくとも冬じゃない

 この様に時系列としてみていくと、さくらちゃんは六年生だったのです。

 これを否定する(五年生説を唱える)には、十巻の月峰神社のお祭りが2月15日〜3月31日に行われなければなりません。しかし「さくらちゃんがゆかたを着ていた」ことより、その期間に月峰神社のお祭りが行われたのは、あまりにも不自然です。そのため否定できません。
 ということで、さくらちゃんは六年生ということになります。

 別の側面から見てみましょう。
 桃矢さんはさくらちゃんが四年生の時、高校二年生です。さくらちゃんが六年生に進級したならば、桃矢さんは順調にいけば大学一年生になっています。
 しかし桃矢さんが卒業したとか大学に入ったという話はでてきません。

 以下のような話がでてきます。

十一巻P36
桃矢と同じクラスのはずの奈久留が星城学園の制服姿で帰宅
奈久留が桃矢と雪兎と一緒に弁当食べるとエリオルに報告
# 同じクラスである根拠・七巻P37
 十一巻では、奈久留も桃矢さんと同様大学一年生の年のはずです。
 「奈久留は星城学園の制服がとても好きで、普段も好きで着ていて、この日奈久留には会いたがらない桃矢さんを含めて三人でお弁当を食べた」とも考えられないこともないが、あまりにも不自然。昼休みに奈久留が押し掛けたという方が自然。

 少なくともこの時点で桃矢さんや雪兎さんや奈久留は、星城学園の生徒であるという方が考えやすい。
 桃矢さんや奈久留が星城学園の生徒であるならば、さくらちゃんは少なくとも五年生です。そうすると、時間経過がおかしくなります。

 結論として、「さくらちゃんの世界は同じ時間をぐるぐるまわる世界」という仮説を立てることが出来る。そのためその世界にいる登場人物は成長しない。

 だから、さくらちゃんは四年生

 次のような結論をこの発端を作った方に送りました。現在(2000.05.25)のところ、この仮説に対する反論のメールは届いていない。

記述 2000.05.14
加筆訂正 2000.05.26